たびとの旅路 ~電脳砂漠の冒険譚~

フロッピー頼りに歩き、クラウドの地平を見つめる今日まで。見つけたオアシス、迷い込んだ砂の迷宮、全てこの羊皮紙に。

処分寸前の鉄屑に、音楽の魂を ~Volumio3 錬成の儀~

砂漠を旅する中で、ふと昔のメロディが恋しくなることがある。手軽に音楽を奏でる新たな相棒を探す旅が、今日も続いている。

かつてAirMac Expressという魔法の箱から、光の糸を伝ってオーディオに音楽を飛ばしていた日々は遠い昔の物語となった。ふと、昔買ったCDのメロディが聴きたくなったが、もはや我が家にあるのは電子の欠片のみ。手軽にあの頃の音色を奏でる新たな音楽サーバを探す旅が、今始まる。

旅の相棒として白羽の矢を立てたのは音楽再生に特化したOS「Volumio3」。しかし、公式という名のオアシスはひどく不安定で、イメージという聖杯を手に入れることさえ困難を極めた。ならば、道がないなら創ればいい。GitHubという古文書の宝庫からソースコードを手に入れ、自らの手でVolumio3を錬成する。処分寸前だったIntel NUCという鉄屑の器に、音楽という魂を吹き込む、壮大な儀式の記録だ。

この羊皮紙のあらまし

この羊皮紙が導く者

  • Volumioという音楽のオアシスを、自らの手で創り出してみたい錬金術師
  • Raspberry PIやIntel NUCといった、小さなゴーレムに新たな命を吹き込みたい冒険者
  • 公式イメージの不安定さに悩まされ、自前でビルドする道を探している旅人
  • 処分寸前の古いPCを音楽サーバとして蘇らせたいと考えている探求者

砂漠の道標

  • Volumio - 音楽再生に特化したLinuxベースのOS。Raspberry PiやPCで動作し、高音質な音楽サーバーを構築できる。
  • Intel NUC - インテルが開発した超小型PC。手のひらサイズながら、通常のデスクトップPCと同等の機能を持つ。
  • Debian - 安定性で定評のあるLinuxディストリビューション。多くのLinuxシステムの基盤となっている。
  • USB-DDC(Digital to Digital Converter) - USBオーディオ信号を光デジタル(S/PDIF)信号に変換する装置。ノイズの少ない高音質再生を実現する。
  • Samba - LinuxとWindowsの間でファイル共有を実現するプロトコル。ネットワーク越しのファイルアクセスを可能にする。
  • SSH(Secure Shell) - ネットワーク経由で安全にリモート操作するための通信プロトコル。Linuxサーバーの遠隔管理に使用される。

儀式の祭壇:処分寸前のIntel NUC

当初はRaspberry PIで儀式を行う予定だったがPCでも可能と知り、倉庫の奥で埃をかぶっていたIntel Celeron搭載のNUC (NUC5CPYH)を祭壇に選んだ。光の音色を紡ぎ出すため、USB-DDC「FX-D03J」も用意した。

NUC(NUC5CPYH) と FX-AUDIO- FX-D03J USB

祭壇に捧げられた鉄屑と魔法の小箱

第一の儀式:Volumio3の錬成(ビルド)

Volumio3はDebianという大地(Linuxディストリビューション)の上で育つ。今回はDebian 12の仮想環境で錬成を試みたが、無事に成功した。(WSL2の大地では、なぜか儀式は失敗するので注意が必要だ) 儀式に必要なパッケージを揃え、GitHubから古文書(ソースコード)を授かる。

# 必要な魔法の道具を揃える
sudo apt install -y build-essential ca-certificates ...(中略)... qemu-utils
# 古文書を授かる
git clone https://github.com/volumio/volumio3-os.git build

rootという神の姿(管理者権限)となり、錬成の呪文を唱える。READMEの古文書通りに一度で唱えると魂の一部が欠けるため、二度に分けて詠唱するのが成功の秘訣だ。

cd build
./build.sh -b x64
./build.sh -d x86_amd64 -v 3.0

儀式が完了すると「Volumio-3.0-yyyy-MM-dd-x86_amd64.zip」という名の魂の結晶が生成される。

Volumio3 のビルド結果

錬成されし魂の結晶

第二の儀式:魂を器へ(イメージ展開)

Rufus(ブータブルUSB作成ツール)という魔法の道具を使い、魂の結晶(imgファイル)をSSDという器へ注ぎ込む。

Volumio3 起動 SSD の作成

魂をSSDという器へ

これで、鉄屑のゴーレムに命を宿す準備は整った。

第三の儀式:魂との対話(セットアップ)

NUCに魂を宿したSSDを接続し、電源を入れる。しばらく待つと、魂との対話画面が現れる。

言葉と時を合わせる

まずは「日本語」「Asia/Tokyo」を選び、我々の世界の理を教える。

言語とタイムゾーンの設定

魂との最初の対話

魂の成長(システム更新)

次にシステム更新の儀式を行う。「Manifestデザイン」(UIテーマ)という美しい衣装を纏わせるため、この儀式は必須だ。更新中に進行表示が固まることがあるが、それは裏で利用規約という名の契約書にサインを求められているだけ。慌てず儀式をやり直せば魂は成長する。

システム更新後の画面

新たな衣装を纏った魂

世界との接続(ネットワーク設定)

初期状態では魂は自ら電波を発し、外界との接続を拒む。ホットスポット設定をOFFにすることで、初めて我々のWi-Fiネットワークに繋がるようになる。

Wi-Fi ネットワーク接続

ようやく世界と繋がった

音色を紡ぐ(再生設定)

オーディオ出力先を「FX-D03J」に指定し、光の糸を伝って音色を紡ぐよう命じる。

オーディオ出力デバイスの変更

音色を紡ぐための最終設定

宝物庫への道(Samba設定)

Windowsから宝物庫(Internal Storage)へアクセスするには、Sambaユーザーという名の合言葉が必要だ。SSH(セキュアシェル)で魂に直接語りかけ、pdbeditコマンドで合言葉を設定する。

SSH 有効化

魂と直接語り合うための扉

これでiTunesの音楽データなどを宝物庫へ運び込み、ライブラリを更新すれば、儀式は完了だ。

羊皮紙を巻く前に

自らの手で錬成したVolumio3は、無事に音楽を奏で始めた。公式イメージの不安定さに悩まされていたが、GitHubのソースコードから直接ビルドすることで、確実に動作する音楽サーバを手に入れることができた。処分寸前だった低スペックのNUCでさえ、レスポンスに少し間があるものの、十分に音楽サーバとして機能している。

Volumio3自前ビルドの価値

  1. 確実な動作 - 公式イメージの不安定さから解放され、自分で錬成した魂は確実に宿る
  2. 古いPCの再利用 - Raspberry Piより手頃なミニPCでも十分に動作する
  3. カスタマイズの自由 - ソースコードから構築することで、将来的な改造の道が開ける

儀式を成功させる三つの秘訣

  1. 錬成の大地 - Debianの大地(Ext4)で行い、WSL2では儀式を行わないこと
  2. 呪文の分割 - ビルドコマンドは二度に分けて唱えること
  3. 結界の解除 - Wi-Fi接続にはホットスポット設定をOFFにすること

まとめ

この羊皮紙が、あんたの新たな音楽の旅の始まりとなれば幸いだ。公式の不安定なオアシスに頼らずとも、自らの手で確実なオアシスを創り出すことができる。処分寸前の鉄屑に、再び音楽という魂を吹き込む喜びを、ぜひ味わってほしい。

おっと、どうやら相棒が腹を空かせたようだ。焚き火の火も小さくなってきた。今日はこのへんで筆を置くとしよう。

おまけ:完成した祭壇

NUCの背後にFX-D03Jを隠しミニコンポと光の糸で結ぶ。 旧型のiPad miniをリモコン代わりの魔法の石板として添えれば、いつでも懐かしいメロディを呼び出せる、最高の音楽祭壇の完成だ。

Volumio3 + ミニコンポ + iPad mini

我が家の新たな音楽のオアシス

懐かしのMETAL GEAR SOLID 3のサントラを再生すると美しいジャケットが表示される。 そういえば、あの伝説がリメイクされるらしい。「いいセンスだ」…思わず、そう呟いてしまった。

砂漠で見つけた魔法のランプ

ラクダの独り言

ご主人が鉄の箱から音楽が流れるようにするのに夢中になっている。昔は俺の背中に乗って鼻歌でも歌いながら旅をしていたもんだがな。便利なのもいいが、たまには自分の声で歌ってみるのも悪くないと思うぜ。それに、処分寸前の鉄屑を蘇らせるのは良いが、またすぐに新しい道具に飛びつくんじゃないかと心配になる。まあ、ご主人の探求心は止められないか。おっと、腹が鳴っちまった。