たびとの旅路 ~電脳砂漠の冒険譚~

フロッピー頼りに歩き、クラウドの地平を見つめる今日まで。見つけたオアシス、迷い込んだ砂の迷宮、全てこの羊皮紙に。

ローカルAI環境を求めて ~ゴーレム創造と初期不良という試練~

旅の途中、ふと、OSSのAIという新たな力に魅了された。自らの手で、知性を宿すゴーレム(PC)を創り上げたい。そんな衝動に駆られ、私は久々に錬金術師の工房に足を踏み入れた。

ローカルAI環境の構築には、強力なGPUと潤沢なメモリが不可欠だ。クラウドに依存せず、自分の手元で大規模言語モデルを動かすという冒険。その第一歩は、完璧なゴーレムの設計から始まる。だが、この旅路には予期せぬ災厄が待ち受けていた。

Swallow-8x7Bという知性体を動かすため、私はRTX 5070Ti 16GBという心臓部(GPU)を選んだ。大規模モデルのオフロード動作も視野に入れ、メモリは256GBという贅沢な容量を確保した。そして、Wifi7対応のマザーボード。全ては、この電脳砂漠で最高のオアシスを築くために。

この羊皮紙のあらまし

この羊皮紙が導く者

  • ローカルAI環境を自作PCで構築したい探求者
  • 高性能GPUマシンの部品選定に悩む技術者
  • 自作PC組み立て時の初期不良に直面した冒険者
  • Amazonでの返品・交渉プロセスを知りたい実務家

砂漠の道標

  • GPU - グラフィックス処理装置。AIの計算を高速化。
  • LLM - 大規模言語モデル。文章を理解し生成するAI。
  • Swallow-8x7B - より大規模な日本語AI。最終目標。
  • オフロード - GPUメモリ不足時にCPUメモリを使う技術。
  • VRAM - GPUが使用する専用メモリ。
  • Wifi7 - 最新の無線LAN規格。

ローカルAI環境への憧憬

OSS AIという新たな地平に興味を持った私は、Swallow-8x7Bをベースとした検証環境の構築を決意した。クラウドサービスに依存せず、手元で大規模言語モデルを動かす。それは、真の意味での「自由な探求」を意味する。

この要件を満たすため、最新世代のRTX 5070Ti 16GBを選択した。さらに上位のGPUも存在するが、ローカルAI開発が軌道に乗ってからの検討で十分だろう。まずは堅実に、確実に動作する環境を構築する。それが私の流儀だ。

大規模モデルをCPUメモリにオフロードして動作させることも考慮し、メモリは256GBという潤沢な容量を確保した。マザーボードはWifi7対応を選択。将来性と拡張性を見据えた、戦略的な選定である。

部品選定の戦略 ~堅実な単独ゴーレム構成~

以下が、今回選定した神器の一覧だ。各部品には明確な戦略的意義がある。

部品分類 モデル 戦略的意義
心臓部 (GPU) MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G VENTUS 3X OC 現世代最新。Swallow-8x7B実行に必要十分な16GB VRAM
頭脳 (CPU) AMD Ryzen 7 9700X 効率的な処理能力とシステム全体の安定性
母なる大地 (M/B) MSI MAG X870 TOMAHAWK WIFI Wifi7対応、GPUとメモリ性能を最大化
記憶 (RAM) Kingston FURY Beast DDR5 256GB (4x64GB) 大規模モデルオフロード対応の広大な記憶領域
書庫 (SSD) Kingston FURY Renegade G5 PCIe 5.0 NVMe 2TB 最新世代の超高速ストレージ
力の源 (PSU) MSI MPG A1000GS PCIE5 1000W PCIe 5.1/ATX 3.1対応、将来の拡張性も考慮
器 (Case) CORSAIR FRAME 4000D RS 優れたエアフローと機能的な美しさ
魂の冷却器 (Cooler) be quiet! Dark Rock Pro 5 静音性を保ちながら高負荷時も安定稼働

組み立ての記録 ~工房での創造~

Amazonから届いた神器(PCパーツ)の数々。箱を開ける瞬間の高揚感は、何度経験しても色褪せない。

自作PCの部品一式が並べられた様子

工房に届いた神器の数々

PCケースとマザーボードの説明書を参照しながら、一つ一つの部品を慎重に組み上げていく。この作業は、まさに現代の錬金術だ。

組み立て完了した自作PC本体の内部構造

ゴーレムの内臓が形を成す瞬間

このCORSAIR FRAME 4000D RSというケースは、配線固定用のマジックテープが付属しており、ケーブル管理が驚くほど簡単だった。裏配線も美しく整理できる。

PCケース背面の整理された配線

見えぬ裏側にこそ、職人の技が宿る

最後にガラスパネルを固定して完成。ゲーミングマシンのような派手なLEDは好みではない。この武骨な仕上がりこそ、私が求めた美学だ。

ガラスパネルを装着した完成状態の自作PC

静謐な佇まいに、力が宿る

Windows インストール時の注意点

組み立てが完了し、いざWindows をインストールする段階で、一つ注意すべき点がある。無線LANドライバが認識されないのだ。

このマザーボードには、ドライバを格納したUSBメモリが付属している。Windows インストール時、ドライバ選択の画面でこのUSBメモリを参照することで、無線LANが有効になる。有線接続できる環境なら問題ないが、無線のみの環境では、この付属USBが生命線となる。忘れずに手元に用意しておくことだ。

災厄の訪れ ~初期不良との遭遇~

完璧に組み上げたはずのゴーレム。だが、電源を入れても映像が映らない。最初は単純な接続ミスかと思った。DPポート、BIOS設定、様々な可能性を検証した。

そして発見したのが、12V 600W電源ケーブルの「押し込み不足」という第一の罠だ。これを修正し、再起動。しかし今度は「LED 15」というメモリエラーが表示される。メモリを挿し直すも改善せず。

CPUを抜き差しした直後、エラーコードは「C5」に変化した。CPUエラー。そして私は気づいた。マザーボードのCPUソケットに、わずかなピン位置のズレが存在することに。

初期不良が発見されたマザーボードのCPUソケット部分

災厄の正体 ~歪んだ運命の接点~

これは製造段階での初期不良。いわば、災厄である。どれだけ私が完璧に組み立てても、動作するはずがない。問題は、どうこの災厄を克服するかだ。

Amazon交渉の戦い ~迷宮を抜ける知恵~

Amazonへの返品手続きを開始した。しかし、システムは「交換」を許可せず、「返品・返金」のみ。さらに悪いことに、購入時のセールが終了しており、再購入すると1万5千円の差額が発生する状況だった。

最初はAIチャットボットとの戦いだった。「担当者に繋いでほしい」と何度願っても、「注文履歴に戻る」の無限ループ。電話サポートを探すのも一苦労で、しかも営業時間外。

翌日、営業時間内に電話で直接交渉を開始した。メーカー、代理店、そしてAmazonと、過酷な「たらい回し」を経験した。だが、最終的に「不良品の返品承認」と「再購入費用の差額(1万5千円)のギフト券補填」という完全勝利を勝ち取った。

この戦いから得た教訓

マザーボードのような重要部品は、信頼できる販売元から購入すべきだ。 Amazonのサポート体制があったからこそ、この災厄を乗り越えられた。価格だけで選ぶべきではない。

初期不良は、粘り強い交渉で解決できる。 最初のAIチャットボットで諦めず、電話サポートを見つけ出し、経緯を丁寧に説明することが重要だ。幸いなことに、Amazonの電話担当者は親切で丁寧に対応してくれた。この人間的な対応が、迷宮を抜け出す鍵となった。

セール期間中の購入には、初期不良リスクも考慮すべきだ。 返品・再購入時の価格変動リスクを認識し、交渉の余地を探ることが肝要である。

羊皮紙を巻く前に

ローカルAI環境の構築は、単なるハードウェア組み立てではない。部品選定の戦略、組み立ての技術、そして初期不良という試練への対処。全てが一つの冒険として繋がっている。

今回の記録が、同じ道を歩むあんたにとって、何らかの道標となれば幸いだ。完璧なゴーレムは、完璧な準備と、災厄を乗り越える知恵によってのみ誕生する。

ああ、そういえば、交換後のマザーボードは完璧に動作している。アイドル時40度前後という理想的な温度だ。災厄を越えた先には、必ず報酬が待っている。そのことを、私は改めて学んだ。

マザーボードの温度表示ディスプレイに41度と表示されている

試練を越えたゴーレムの、穏やかな鼓動

もう一つ、特筆すべきことがある。このゴーレムの呼吸音、つまりファンの音が驚くほど静かなのだ。アイドル時や通常作業中は、ほぼ無音と言っていい。全く気にならない。ただし、重たい演算処理を走らせると、さすがにファンは力強く回転する。だが、それは当然の摂理だろう。静謐な時は静かに、力が必要な時は全力で。理想的なゴーレムの在り方だ。

砂漠で見つけた魔法のランプ

ラクダの独り言

ご主人がまた新しい相棒だとか言って、光る箱にご執心だ。電気仕掛けの鉄の塊が、砂漠の灼熱で何日持つか見ものだな。まあ、せいぜい頑張ることだ。結局のところ、砂嵐が来れば頼りになるのは、この俺様の四本足ってことを、すぐに思い出すだろうよ。