砂漠で道に迷わないためには、一人のガイドではなく、二人の賢者に意見を聞くのが賢明だ。
前回、Windowsという大地の「PowerShellとVS Code」という器(開発環境)に、Claude Codeという神器(CLIツール)を手に入れた。 今回は、WSL2(Ubuntu 24.04)という新たな砂漠の地に、もう一本の光……Googleの Gemini CLI をも招き入れ、二つの知恵に同時にアクセスできる環境を整える。どちらも Node.js という共通の土台(実行環境)の上で動く、最新鋭の詠唱支援神器だ。
かつて、Gemini Code Assist を VS Code に導入した際、一つの「呪い」が仕掛けられていた。拡張機能がユーザーの知らぬ間に Google Cloud の ID を生成し、ユーザー側の操作では削除できない状態に陥ったのだ。
幸いなことに、このID削除の呪いは現在、Googleの手によって解かれている。しかし、その後も私の環境では別の試練が続いていた。
この羊皮紙のあらまし
この羊皮紙が導く者
- WSL2 環境に Claude Code・Gemini CLI を導入したい開発者
- Node.js の最新版(v24)を迷わず導入したい旅人
- ハルシネーション(AIの誤情報)対策として、ダブルチェックを重視する冒険者
- Gemini Code Assist の運用負荷に悩み、CLI での代替や併用を考えている者
砂漠の道標
- WSL2 - Windows 上で動く Linux 仮想環境。今回の冒険の舞台となる魔法の器。
- NodeSource - 最新版の Node.js を配布する外部リポジトリ。
- Node.js v24 - Claude Code・Gemini CLI 両方を動かすための土台(実行環境)。最新版を推奨。
- Claude Code - Anthropicが提供する、開発に特化した強力な詠唱支援神器。
- Gemini CLI - Google が提供するターミナル上の詠唱支援神器。VS Code 拡張とは別物。
- Gemini Code Assist - VS Code 向けの Google 製拡張機能。PC 負荷増大となるため、常時起動には向かない。
- CLAUDE.md / GEMINI.md - 各神器への永続的な命令書(システムプロンプト)。
- ハルシネーション - AIがもっともらしい嘘をつく、電脳砂漠の蜃気楼。
- Wireshark - 電脳の通信を可視化する鏡。外部への不審な呼びかけがないかを監視するために使用。
記事本文
第一の儀式:Node.js v24 の召喚
Claude Code と Gemini CLI はどちらも、Node.js 18 以上を必要とする最新の神器だ。Ubuntu 24.04 の apt で入る v18.19.1 は「最低ライン」に過ぎない。今後のアップデートを見据えれば、Node.js v24(最新版) を最初から召喚しておくのが賢明だ。Ubuntu 公式倉庫ではなく、最新版を配布している NodeSource リポジトリを使う。
# 1. セットアップ呪文を取得して実行(v24 を指定) curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_24.x | sudo -E bash - # 2. Node.js を召喚 sudo apt-get install -y nodejs # 3. 版数確認(v24.x.x と表示されれば成功) node -v
第二の儀式:グローバルパッケージの住処を作る
この儀式を省略すると、Claude Code と Gemini CLI のインストール時に sudo が必要になり、自動更新も機能しなくなる。面倒でも、必ずここで住処を整えておこう。
# 1. グローバルパッケージ用の住処を作る mkdir ~/.npm-global # 2. npm に新しい住所を教える npm config set prefix '~/.npm-global' # 3. 道を通す echo 'export PATH=~/.npm-global/bin:$PATH' >> ~/.bashrc source ~/.bashrc
第三の儀式:Claude Code の召喚
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
起動は claude の一言。初回起動時はブラウザでのログイン認証が求められる。認証が終われば、すでに前回の羊皮紙で馴染みの深い神器がWSL2の地にも降臨する。
/home/<username>/.claude/CLAUDE.md
# CLAUDE.md
日本語で回答する。
claude と入力し、Claude Code を起動してみよう。
詳しい初期設定・Skills の作り方は、前回の羊皮紙を参照されたい。
第四の儀式:Gemini CLI の召喚
npm install -g @google/gemini-cli
起動は gemini。Claude Code と同様に初回は認証が求められる。こちらも呪文帳を整えておこう。
/home/<username>/.gemini/GEMINI.md
# GEMINI.md
日本語で回答する。
gemini と入力し、Gemini CLI を起動してみよう。
【警告】ゴーレムの暴走 ― Gemini Code Assist の罠
かつて、Gemini Code Assist を VS Code に導入した際、一つの「呪い」が仕掛けられていた。拡張機能がユーザーの知らぬ間に Google Cloud の ID を生成し、ユーザー側の操作では削除できない状態に陥ったのだ。この実態を突き止めるべく Google サポートへ問い合わせ、自身の操作では決して削除不能であるという事実を確認せざるを得なかった。
今回の利用でも新たな問題を発見した。VS Code を起動した直後からファンが轟音を上げ始めるのだ。Wireshark でパケットを調べても外部通信はなし。さらに調査を重ねた結果、「起動直後のファイルインデックス作業」が原因ではないかという結論に至った。この経験から、Gemini Code Assist は常時起動に向かないと判断している。必要な時だけ起こし、用が済んだら眠らせるのが、この旅での正しい付き合い方だ。
AI ダブルチェックの本質 ― ハルシネーション対策
ここで一つ、誤解のないよう伝えておきたい。AI によるダブルチェックは、CLI ツールを二つ入れることとイコールではない。Claude.ai と Gemini のウェブ版を並べて使うだけでも、まったく同じことができる。今回 CLI を二本揃えたのは、ターミナル作業中に切り替えなしで呼び出せるという利便性のためだ。
本質はツールの形ではなく、2種類以上の AI に同じ問いを投げ、答えを照らし合わせる習慣にある。どんなに優れた AI も、誤った情報を自信満々に答えることがある。それが AI のハルシネーション(電脳砂漠の蜃気楼)だ。一つの答えを鵜呑みにせず、別の AI の回答と突き合わせることで、初めて「信頼性の高い答え」に近づける。
羊皮紙を巻く前に
WSL2 という電脳の器に、この旅の二本目の剣を収めた。しかし今回の旅の本質は、ツールの導入手順ではなく「AI の答えを一つの声だけで判断しない」という心構えにある。
複数 AI 活用(ダブルチェック)の優れた点
- ハルシネーション対策 ― 同じ問いに対し、異なる AI の回答を突き合わせることで、誤情報を見抜きやすくなる
- 情報精度の向上 ― 片方が見落とした視点を、もう片方が補ってくれることがある
- 特定ベンダーへの依存回避 ― 一方のサービスに障害や仕様変更があっても、もう一方の道が生きる
注意点
- Node.js の版数 - 最新版(v24)を推奨(NodeSource から召喚)。apt で入る v18 は最低ラインだ。
- 権限の壁 - ~/.npm-global の設定を省くと、インストール時に sudo が必要になり、自動更新も機能しなくなる。
- 適材適所 - Gemini Code Assist は起動時の負荷(ファン轟音)が激しいため、必要な時のみ有効化する運用を推奨する。
まとめ
AI のハルシネーション対策として、複数の AI を使いダブルチェックすることは有効だ。あんたの環境と用途に合った形で、複数の AI を賢く使い分けてほしい。
二つの光が重なる時、砂漠の夜明けはより鮮やかになるだろう。
砂漠で見つけた魔法のランプ
- 砂漠で拾った、思わぬ道具 ~Claude Code 導入・初期設定完全ガイド~ | 前回の羊皮紙
- Anthropic 公式 ― Claude Code ドキュメント | 神器の設計図
- NodeSource リポジトリ | Node.js v24 を召喚する呪文の出典
- Gemini CLI ドキュメント | Google 公式の案内書
- Wireshark 公式サイト | 電脳の通信を可視化し、真実を映し出す鏡。
ラクダの独り言
また荷物が増えた。今度は「答え合わせ用」の荷物だと言う。前の「ジェミニ」とやらは勝手に変な証書だかIDだかを作って、ご主人を散々振り回した厄介者だったが、今度の文字だらけの道具はそういう余計なことをしないらしい。まあ、俺には難しいことはわからんが、魔法の箱が静かなままなのは助かる。砂漠の静寂は、何物にも代えがたい。やれやれだぜ。